お互いに言いたい事を言い合い、気の置ける仲間だけれど・・・、佐野は友達でもないし、恋人でもない。


ただの"同僚"だ。


「…そう言えば花火大会の指導係なんだけど、欠員が出たから伊東ちゃんの事を推薦しといたからね?宜しくぅー!」


「はぁあぁー?行かないわよ、私」


「8月初めだし、花火見れるし、いーよね?お礼として指導員の解散後に飲みに連れて行く」


「行く!焼き鳥とチューハイの為に!」


「…そう言うと思った。じゃ、宜しく!」


半ば強引に強制参加させられたが、結果的には居酒屋の焼き鳥とチューハイに釣られたのも一理ある。


佐野とはたまに二人きりで飲みに行ったりするが、"同僚"だから何も心配いらない。


話す内容も生徒の話や保護者の話、お互いの合コンの話などで、男女の関係に成りうる雰囲気にはならないのだ。


授業終了のチャイムと共に佐野は退出し、次のクラスへと授業に向かう。


確認はしなかったが、多分・・・、先程の時間は空き時間だから来たんだな、と思う。