頬杖の男性も彼女を見ない。どこか悲しそうな目は指に絡ませたワイングラスに向けられている。端正で凛とした顔形。目だけが脆そう。 私は彼を眺めた。 それはほんのちょっとの間。 そして彼と目が合った。 直ぐに視線を外したのだけれど、その視野の頂が重なった時間が──実は刹那だったはずなのに──とても長い時間だったような気がした。 その暫くか僅かか曖昧な感覚の中で、私は彼の目の奥から何やら得体の知れない不思議な笑みを感じ取っていた。 私は時の感覚を麻痺させたまま、流川さんに顔を戻した。