「まあ、一応ね」 「あら……どうしよう」 「何が?」 「奥さんに悪いかも」 「何で?」 「いえ、何とな……あの、さっきのレストランで一緒だった彼……」 「ああ、間違えたら失礼、不倫だった?」 「話が聞こえたの?」 「全然。けど、そんな気がした」 「不倫の二人ってナイフとフォークを構えると顔に告知されるのかしら?」 「どんな文字が?」 「不幸」 「少なくとも彼氏の顔には幸福って文字があった」