彼とは、例えば映画館で隣り合わせになって物語に感嘆し意気投合してさらに議論を戦わせたいがためにこれからその決戦場に向かっている。そんな気持ちのはずだった。



しかし、彼が私を起こすために引き寄せ、その勢いで胸に体を預ける形になった際、戸惑いが背筋を走った。



私の頬は彼の堅い胸に押し立てられていた。



あ、鼓動……?どっちのだろう?やはりわからなくなる……。こういう錯覚が起こるのは、そうだ、あの行為……。



カラオケ屋さんって、個室だったよね?