私は返事をしなかった。
代わりに小首を傾げて些かの人見知りのポーズ。あくまでもポーズ。
どうして他人にそんなことまで話さなければならないの?そういう抗議の雰囲気を込めて。
「詰んだの?詰まれたの?俺は早差しで勢い攻められた。防戦一方だった」
私の皮肉めいた笑みは他意のない綻びに変わった。
例えているのはチェス?将棋かな?そんな知的な勝負をした覚えはないけれど、話を合わせて答えてあげてもいいかな?
少なくともこの男性に悪意は感じられない。不様な自分の境遇をあからさまなギャグとして他人に晒すなんて、自虐にしてはあっけらかんとし過ぎている。

