恐る恐る周りを見渡す。
私は口元だけで笑んだ。
誰も、私たちなど見てはいない。
あるいは、今さっき見た醜態は他人にとってはもう遥か過去の話。
プリモピアットもセコンドピアットも、つまりバジルの薫りのパスタも子羊も滑らかに喉を通らなかった。
ドルチェも、デザートのフルーツはイタリアンでは普通皮付きのまま出てくる。アップルにはナイフを通す気にはならなかった。
ワインは温度が上がっているだろう。喉に重たく流れそう。
そういえば、私、最初のころ、イタリアンはガーリックが効いた料理が多そうなイメージだったので、デートの利用にはあまり気が進まなかったのだけれど、偏見も加えて遅ればせながら、なのだけれども、いつのまにか心を許すに従い私からプレゼンしたりするようになっていた。

