その感情はすでに表に現れてしっかり抱きしめる体の感触に酔って溺れる。
芹ちゃんは抱きしめるといつも可愛らしい反応を返す。
他の女の子もこうなんだろうか?
今まで他者に興味なんて湧かなかったからそんな経験もなく疑問が走る。
それでも別に今は他の事なんかどうでもいい。
芹ちゃんが可愛い。
それだけでいい。
彼女が今の俺の探求心をくすぐる物・・・人なんだ。
彼女に感じるコレが何なのか、
なんであの時・・・・、
唇で触れたくなったのか。
ずっと・・・触れていたい。
だから、嘘を嘘だと言えずにいる。
確かに罪悪感を抱いていて、そのことで彼女が今も傷ついていると分かっているのに。
あの携帯。
君が意識を失っている間に何度着信があったかな。
その表示はいつだって茜ちゃんで、その着信の長さや頻度で分かってしまう。
本気で・・・・芹ちゃんを捜してる。
そうして度々俺の方にもかかってくる着信でもう一つの理解。
俺が芹ちゃんといるという事に気がついているんだ。
だから、俺のポケットには電源を落とした携帯が2つ。
自分の物と・・・、
ホテルにある筈である芹ちゃんの携帯。
それを知らずに「もういい・・・」と微笑む彼女に胸が痛んで。
嘘つきな自分に耐えきれない重圧。
これは・・・・なんだろう?
こんな痛みを伴っても彼女を手放したくないと思う感情は。
兄弟の様に育った理解者である茜を裏切ってもこの手を離せない感情は。
ごめん・・・・。
苦しい・・・・。
それでも・・・・、
芹ちゃんを手放す方が今は苦しい。
この感情は何?
働く探求心で深みにはまる。
その感情を理解していくほどに自分のしたことに打ちのめされるなんて・・・。
今は知らない。