思わず許さざるを得ない仔犬の表情。


それに力なく笑ってからゆっくりと息を吐く。



「いいんです。・・・誘拐されているのに携帯なんて触れる筈無いですから」



冗談を交えての切り返し。


その言葉を聞いて緑が僅かに揺れたのは気のせいか。


複雑な頬笑みを多分携帯への罪悪感だと思い、気にしなくていいというように繋いでいた手を軽く引きその歩みを促した。



「行きましょう。・・・コンビニ」


「・・・・うん」



その手を引きながら声をかければ口の端を軽くあげて、どこかまだ躊躇いある空気を残したまま私の隣に並んだ雛華さん。


それが気にはなったけれどしっかり握り返された手の感触で忘れた。


弱っている時に人のぬくもりって優しいんだな。


そんな事を感じてしまう雛華さんの手に再度の癒やし。


やっぱり・・・雛華さんがいてくれてよかった。





私を癒やす・・・存在。