THE FOOL







「うん・・・、本当に興味深いね。興味が尽きなくて本当に興味深い」



これは探求心ではない。


と、結論づけようとした瞬間に入りこんだ声と嬉々とした子供の様な笑みで思考が止まった。


今までのどこか妖しい空気を見事破り、余韻もなくパッと解放された体に呆気に取られ。


対面した姿は何だか生き生きつやつやと満足そうにその姿を私に見せる。



「雛華さ・・・」


「本当に興味深いよ、どこまでも柔らかくてさ、なのにその部分部分で強度を変える。顔だけでもう何か所の違いを見つけたと思う?」


「・・・・・」


「女の子の体って凄いね。細くても柔らかくて気持ちいい。思わず・・・・」



さっきよりは興奮の落ち着いた雛華さんの姿と声。


呆気に取られたまま雛華さんの得た実証の結果を耳に取り入れていて油断した。


もう実証は終わっていたのだと。


だけど落ち着いた表情の口の端をニッとあげた彼が私の腕を掴んで持ち上げるとおもむろに唇を這わせ頬と同じ様に甘噛みする。


殺されたかと思った。


今までのそれがまるでナイフで薄くその感覚を悪戯に刻んでいた様に。


そうしてここに来てそのナイフをとどめの様に突き立てられて。


今度は視界にはっきりと捉える雛華さんの私への接触。


見て捉えて感じる感触は扇情的だとぼんやり思った。


そうしてまだ唇を当てたままの視線が私に向かい、その口の端をクッと持ちあげ微笑んできた。


ああ、限界。


そう思った瞬間に私の足は立つ事を諦めたらしい。


ガクンと下がる体にに自分は驚きもしなかったけれど、予想していなかったらしい彼が焦って掴んでいた手に力を込めて私を支えた。



「っ・・・驚いた。大丈夫?」


「だ・・い丈夫・・・」



な、わけない。


そんなはずない。


こんなことされて、


カッコイイ人にこんなことされて平常心でいられる女の子は何人いるだろう。


いや、いるのかもしれないけれど私は無理でした。



「・・・・芹ちゃん・・・赤い?」


「はい、自覚してます」



だって燃えるように顔が熱いですから。