「浜上東って、かなり悪い中学だったんだ。へーきで警察沙汰になるぐらいの」
「え?そんなところにいたの?」
「うん。奈知…賢いのに親がいろいろあって、母親しかいなくて。お金がないからそこの公立中に行ってたんだ。」
「へえ……」
「奈知は頭もいいしスポーツも出来るし、ボクが言うのもなんだけど、かっこいいでしょ?女子には勿論、男子にもけっこう人気があった。でも」
「でも?」
「貧乏だなんだって言ってくる男子もいたんだよ。一部だけど」
「そうなんだ……」
あたしは奈知にそんなことがあっただなんて知らなかった。
ただの一匹狼やらナルシストやら言ってたのが、恥ずかしく思えた。
「その一部の男子が、去年奈知とケンカしてね、4対1だったのに負けたんだ。ボロボロに。たぶん今日のはその腹いせ……って言ったらいいのかな」
話し終えた礼也君は、お化け屋敷を直しに戻って行った。
だから奈知、「手伝え」じゃなくて「手伝って」って言ったのか。
奈知も悪いって思ってるんだ……
「よし!!!あたしも協力して早く直そうっと」
こうしてお化け屋敷は着々と出来上がっていった―――



