「そう。親が会社やっててね、海外転勤で、一家ドイツに。文化祭終わったらすぐに行くらしいんだ」
少し震えた声だった。
「そんな早くに……」
沢田少年が彼女に一目惚れする前から、決まっていた事実。現実。
「まだここに居たかったなあ……」
少しの沈黙。
学校一大きな木の下で、二人は立っていた――――――
すると、沢田少年は口を開く。
「オレ、明日から一週間毎日ココ来ます!!!だから槙野サンも来てくれませんか?」
自分でも何てこと言ってしまったんだろうと思った沢田少年だったが、
まっすぐ彼女の瞳を見た。



