沙也がそう言ってくれたおかげで、競技に間に合った。
あたしが出る競技は勿論(?)長距離。
男子は奈知が休みの人に代わって出ることになった。
「3kmかあ…トラックばっか走るんじゃ疲れるな…」
女子は3km、男子は4km走ることになってる。
ただ走るくらいなら大丈夫だけど、なんか借り物競争みたいなこともさせられるらしい。
さっき沙也から聞いた。
皆『大丈夫!たった3kmだから!』とか言って、あたしを騙してたんだ。
知らなかったもんそのこと。嗚呼あたしってとことんバカ。自覚はある…のに気付かない。
「オイ馬鹿野郎」
「誰が馬鹿だよヤローだよ」
そう振り向くと、後ろには奈知がいた。
普通に…普通に……
そう思って深呼吸するけど、余計熱が上がってくる。
「愛川3キロなんか走れる訳?」
軽くムカついた。
「それくらい余裕だし。空手で鍛えた精神力をなめんじゃないわよ」
そういつものように睨みつけて言ってやった。
「はは。そうか。じゃあ大丈夫そうだな」
わー!奈知が違うー!
いつもと違うー!
笑ったし。笑ったし。笑ったし!!!
泣きたい……



