「奈知ー!、勇美ー!先生呼んでるよ。多分体育大会のことだと思う」

沙也があたし達を呼ぶ。
また先生もタイミング良すぎないですか?


「はあいわかった(泣)」

少しためらいながらもあたしは奈知と教室を出た。



「お前ら大道具だったよな。やってもらいたいことがあるんだが」

スキンヘッドでジャージのいかにも体育教師の吉井先生。
先生の言うことは従わないと、ねえ。



「何ですか」

あたしの代わりに奈知が答えた。


「放課後二人で河上高へ行って、体育倉庫のハンドボールをこっちに持ってきてほしい。河上の方の生徒は別に用事があるらしくてな」


ハンドボール?


「あのっそれ、何に使うんですかっ」

あたしは先生に聞いた。



「2年の競技で使うんだよ。浜上も河上も2年は異常に多いからな、こっちの体育倉庫のボールじゃ足りんのだ。募集人数でも間違えたか?はは。じゃ、よろしく頼むな」

そう言って吉井先生は姿を消した。



「つまりパシリか」

奈知の意見に超同感。


「でもまあ行かなきゃね吉井先生だから」


「おう」