沙也に言われたから、……言われたから、あたしは奈知のいる砂浜へ戻った。
「奈知ー、勇希ー」
競泳で勝負してたらしく、負けた勇希が奈知にアイスをおごっていた。
「勇美ー(泣)。オレの数少ない小遣いが200円減ったー」
「勇希、俺と何メートル差があったのかなあ?じ…」
奈知がそう言いかけて、勇希に止められた。
「べ、別にいいやん、なあ?もうオレ奈知なんか嫌いやっ!せっかくの可愛い従兄弟を奴隷にするだなんてっ(泣)」
そう言った勇希は、礼也君達がいる向こうの砂浜へと走っていった。
「ちょっ…」
「ほっとけばいい。アイス一個で全くセコい奴……」
「…確かにね(笑)。あ、アイスあたしにもひとくちくれないかなあ……?」
うざっぽく言ったあたしは、奈知が手に持っていたアイスをひとくち。
「おいしー♪」
奈知の顔に似合わずストロベリー味だよ(笑)。
でもイチゴの果肉が入っててやばいくらい美味!!!
「あ!俺いっこも食ってねえ!」
「別にあたしひとくちしか食べてないじゃん。あと食べれるでしょ」
「いいわ。それ愛川にあげる。まあ勇希が買ったやつだけど」
「えっいいよ、美味しかったから食べればいいじゃん」
「実は俺ストロベリー味ダメなんだわ。だから」
そう言って奈知はあたしにアイスをくれた。
アイス持ってた時かなり嬉しそうな顔してたのに…。
もしかしてあたしが食べたものなんかいらねえとかいう………
あたしってそんな嫌われてんのかなあ……



