俺は固まった。動けずにいた。
本心言って何が起こっているのかは
分からない。分かりたくもない。
ただ…言えるのは………

「お前…………いつからここにいた?」



俺の部屋にある大量のマンガを次から次へと読んでいくこの少女は…


「お前誰だよ。」



俺の知らない奴なわけで。
こんなところ妹にでも見られれば、
『兄さん…いよいよ誘拐したの…』
なんて言われかねない。
一刻も早くこの状況を打破しなければ
この家に俺の居場所がなくなってしまう…

「な…なぁ…、お前…………」



無視。



「お母さんは?」



無視。

「お父さんは?」
「家はどこ?」
「名前は?」
「何歳?」


無視無視無視無視………………

「………………………………」




「人の話聞けよゴラァっ!」
「ひゃん!」

キレた。
ついに俺はキレてしまった。


「名前は?言えないとかなしだぞ?」

「ふぁ⁉え…えっと…ない…です。」


「それを最初から言え………もっかい言え」
今、聞き捨てならない言葉が聴こえたような…
「えっと……ないです……」
ない?
「名前知らないの?」
「えっとと…元々なく…て…」
…………名前がない。

「家はどこ?」
「谷田部山の木の根本」
キノネモト…

「どうしてここにいる」
「神様が連れてきてくれたの!」

…はい。
ここから分かること。


「記憶喪失……?」

どうやら俺の家にとんでもないものが
迷い込んできたらしい…