俺にもっと溺れろよ。





「......ふふっ」




照れたように笑う南。



──ドキッ。




久しぶりに胸が動いた。



なんだよ、その笑顔。


俺を惑わせてくんなよ。




「その笑顔は......反則」




......だろ。




俺がそう呟いたと同時に風が吹いた。




「......えっ?」




「なにか、言いました?」




この反応。


南には、聞こえてなかったみたい。



......あっぶねぇ。



風が吹いてくれて助かったわ。



聞こえてたら......俺は......。




「なんでもない」




なんもないことにしたかった。



自分の顔がさっきよりも熱を持っているような気がする......。








*





たわいもない話をして、昼飯を食べ終わった後。



「あの、これからも一緒に食べてもいいですか?」




そう南が口を開いた。


これからも、か......。




「いいけど」




「......」




俺はまた、OKサインを出した。



ほんと前までの自分だったら、一緒に食べるとか有り得なかったのに......。



今日、南と一緒に食べて楽しかったから。