俺にもっと溺れろよ。






そう言って、俺はハンバーグのソースを取る。



そして、自分の口に持っていって舐める。




これも、




「......うまっ」





こんなちょっとだけなのに美味いのが分かる。



隣には、俺の行動に困った南が驚いた顔をしている。



......俺にドキドキした?




どこかでそう思っていてほしい自分がいる。



口をパクパクさせて、驚いてる。



......そうやって、俺だけにずっとドキドキしててほしい。



「......ん?」




俺は、何も無かったような返事をする。



これからもそういう反応、もっと見せてよ。



そして、もっと俺に困ってよ。




「先輩、好きです」




さっきまであんな固まってたのに。



南は、俺に何回目が分からない告白をする。


ほんと、予測できないな。




「それ言うの、何回目?」




......ははっ、ほんとに何回目だよ。




「......分かりません」




まさかの返答に笑ってしまう。




「ははっ......なんだそれ」




本人も分かってないのかよ。



どれだけ、全力できてんだよ。