噛む度に広がる、甘い香り。
卵焼きは、しょっぱいより甘い派なんだよな。
俺の好みすぎる味。
ほんとに料理上手なんだな。卵焼きでそれが分かるし。
「この卵焼き、めっちゃ美味い」
やっぱ、手作りっていいな。
他の料理も食べてみたい。そう思った。
......胃袋を掴まれるってこういうことかよ。
美味すぎて笑っちゃうし。
「ほ、本当ですか......?」
またまた、心配そうな南。
ほんとに俺が嘘を言うとでも?
俺をずっと見てるお前の方がそれを分かってんじゃねぇのかよ......。
「本当。
てか、心配しすぎ......」
ほんとに心配しすぎ。
いつものガッツはどこに行ったのやら......。
その言葉に安心したのか、南は、爆速でご飯を食べ始める。
ほんとに忙しくて無邪気な奴。
そんな勢いで食べるから、ハンバーグのソース口の横に付いてるし。
「......ははっ、勢い良すぎ。
ほら、ついてる」
俺がこんな笑うなんて珍しすぎるだろ。
なぜか、南と一緒にいると笑顔が絶えない。

