「なにかあってからじゃ遅いでしょ。
送る......」
先輩って、なんでさらっとカッコイイこと言うかな。
わたし、もう。沸騰するよ。
「あの、じゃあ。
......お言葉に甘えて」
ほんとにほんとにありがとうございます。
今日、迷惑かけすぎじゃないわたし。
「ん......」
早瀬先輩はそれだけ言い。
歩き出した。
靴を履き、先輩のあとを追う。
少し前を歩く早瀬先輩。
さっきとは違い。もう、ほとんど日が暮れていた。
今、こうして先輩と帰れることは奇跡みたい。
わたしが朝、誘うつもりで結局誘えなかったことが偶然か必然か分からないけどこうしてなってるってすごいことだと思う。
先輩との少しの距離。
これは付き合ってないから。
もし、彼女だったらその横を歩けるんだろう。
そんなことを思うとほんの少しだけ泣きそうになった。
帰り道。たわいのない話をした。
先輩の少し後ろを歩きながら。
そして、わたしの家に着いた。
ほんと、幸せな時間というものはあっという間。

