やっぱり、その笑顔は反則だ。
わたしは、ほんと幸せものだ。
運がまだあったってこと。
「あの、早瀬先輩。
助けてくれてありがとうございます。
先輩こそ、大丈夫ですか?」
心配になってわたしは聞く。
「大丈夫だよ」
先輩はそう答える。
「よかった。
本当にありがとうございました」
ほんとによかった。
わたしのせいで怪我とかしたら......。
想像するだけで怖い。
「それと、先輩。
なんで、図書室にいるんですか?」
1番の疑問がこれだ。
不思議でしかたない。
「なんでって、本返しにきた」
「早瀬先輩、本読むんですか」
自分で言っておきながら思う。
そりゃ、読むでしょと。
「読むよ。
たまに、ここに借りに来る」
「そうなんですね......」
冷静を装って、わたしは相づちをうつ。
なんで、冷静を装うかというと。
先輩は“たまに”ここにくるんだよ。
それが今日、この瞬間。その“たまに”がわたしに来たんだよ。
自分でなにいっているか分からない。
興奮しすぎでしょ、わたし。
とうとう日本語も喋れなくなったのか。
でもでも、ニヤけてしまうでしょ。
わたしってば、幸運。

