「がっつり狼ってわけじゃないよ。俺は狼男」

...何が変わるというのだろう。

「何が違うんですか」

少しの好奇心に身を任せ、聞いてみた。
そんな私に喜んだのか、自称狼男は説明する。

「狼は血と肉に飢えた獣。狼男は人間と狼の血が入り混じった正直者」

「ハーフなんですね、貴方」

初耳。

「だから、俺のこと好きになって?」

「だからの意味が分かりません」

言い放つと、私は、奥の方へ足を進めた。

「もー。亞嶬、素直じゃないなあ。」

--チュッ

「..................は?」

いや、いや、いやいやいや。

こいつ今神聖なる神の頬に唇を付けたぞ。


「き、さま...コロ.......」

だめよ、亞嶬。私は如来。生きるものには、差別を無くさないと。

「え、なに?」

ニヤニヤしながら言ってくる。その顔。ああ~!!!潰したいわ。神たるもの、そんなことは許されないけれど!!!!

「ねえ、好きになってくれた?」

「は?」

本日三度目の、は?
無理もない。こいつと話してると、は?しか出てこないのだから。
第一、一度の軽い頬への口付けだけで好きになるとは、相当な精神の持ち主であろう。