「まあ、泣き腫らしてはいないけど……でも哀愁半端ないけど?」
「……激しく……ロス。吐季さんロス」
「いやね、もう何なの?昨日の『付き合ってる』発言で驚かされたかと思えばたった一日で『別れた』宣言。もう驚きの在庫も空っぽでどう反応していいのか分からないけど」
「……同じく」
「はっ?」
どうしたらいいのか分からないんだって。
どこまでも女の子になれない本質はやはり涙を流すような事をしなかった。
それは予想がついていたし、仕事もあるのだから好都合だと思っていたけれど。
「……泣くってさ、こう、最後の消化作業みたいな気がしない?」
「はぁ?」
「最後の最後な仕上げっていうか。ほら、人が亡くなっても最後は焼却するじゃん」
「ねぇ、その例えどうなの?」
「いやさ、それをしてないとなんかの弾みに何度でも甦ってきそうだなって。ゾンビ的な」
「だから、その夢もときめきもない表現やめなさいよ。しかも無表情の真顔で」
いやだって、本当にそう思ったんだって。
泣いて喚いてが出来たらどんなスッキリするんだろう。
泣きはらした顔で仕事が出来ないと休む事を選んだらどんなに楽なのか。
もう顔を合わせるのが辛いとバイトその物をやめる様な乙女心であったら。



