このチャラ男一途につき…




のらりくらり、受け止めているようで実は目を逸らしてた事実を吐季さんに突きつけられた気がする。

言葉で表現されるよりももっと明確に、鮮明に、吐季さんの一途さを見せつけられた。

こんな表情しちゃうんだ?

こんな表情を意図とせずさせちゃうんだ?その人。

うわぁ……。

まるでその人を見つめているように、柔らかく笑む中で貪欲さもチラリと垣間見せる。

自分の諦めの悪い微々たる期待なんて打ち砕かれた。

いや、もっと…、

いっそ、修復できないくらいに粉々にすべき時なのか。

「吐季さん、……告白しないの?」

「ん~?なに藪から棒に」

「だって、1年も片想いしてるんでしょ?告白しないの?相手の人だってさすがに気が付くでしょ。良い雰囲気とかにはならないの?」

「んー……どうなんだろうな。少なからず好意は感じるんだけど」

「吐季さん、」

「はあい、今日は好奇心旺盛な巴ちゃん。今度はなによ?」

いつものおふざけな笑顔。

何も構えてなくて、私の言葉に次はどんな軽口で返そうかと楽しんでいるような。

このおふざけの時間で充分だと思ってたのにな。

自分でもびっくりだわ。

もっとずっと腐敗は進行してて、【手に入れたい】ではなく【手に入れた気】になってこの時間に浮れていたんだと気が付いてしまった。

相も変わらず、自覚するのはいつだって答えの後なんだ。