“全国中学校野球大会 県予選 決勝”

「しまっていくぞーっ!!」

「おー!!」

捕手のかずやのかけ声と共に守る選手たち、そして観客席からの声援、このマウンドに伝わってくる。あと2イニング抑えれば24年ぶりの夢の全国大会だ。

僕らの学校は弱小校で決勝に上がってくるまでは全て1点差で勝ち抜いてきた。
控え選手も1人だけで、この10人で頑張った。

それにしても…暑い

今日は真夏日のうえ、両校互いに打ち合い点取り合戦となっている。守る側はかなり体力を消耗されるのだ。

だが残り2イニング、1点差だが抑えれば勝つ。

この試合勝って、全国行って、それから強豪の高校に入って甲子園で活躍し、ドラフトで指名されプロになるのが僕の夢だ。

そのためにもこの試合勝ちエースとしてこの名を高校の名称たる監督に轟かせてやる。

「プレイボール!!」

球審の言い放たれた声の後に、
かずやははじめに投げる球種をサインで出し僕もそれに頷いた。頭から真っ向勝負だ。

僕はストレートの握りに変え、初球を全力で投げた。
ボールはかずやが構えるミットに鋭く突き刺さるように収まった。

『うん、たくみの球はこのイニングになっても活きている。鋭い。いける!』

かずやは確信するように収まったボールの感触に納得していた。

「ナイスボール!」

と、かずやからの返球を受け取りマウンドのプレートへと戻ろうとした時、少しふらっとした。多少めまいがするが我慢できる程度だ、今までの試合だって暑さを乗り越えてきたから大丈夫だろう。