「……小室、悪い…。」

拓海は申し訳なさそうな顔をしながら少し頭を下げた。

「へ、あ、いや、大丈夫です…。多分……。」

真っ二つに折れた看板は明らかに修復不可能で最初から作り直すしか無い。

が、文化祭実行副委員長という立場の凪は作り直す時間なんてあるわけない。

「あ、拓海も看板作り直すの手伝いなよ!」

「え。」

「そうよ。謝っただけで許されると思ってるの?」

「…………わ、分かった。」

拓海は女子の圧力に負け、渋々了承した。





そんなわけで今、凪と拓海は大きな板に向かって筆を動かす。

今まで殆ど接点の無い2人。

会話なんて無く、隣のクラスから響く音が2人のいる教室内に残った。