『好きです』と言う癖につれなくてドライで。
そんな姿に腹を立てもしたくせに見事惹かれて。
好きだと言われ、自分も好意を抱いて両想いである筈なのにまるで手ごたえがなかった。
小田の時の様にどちらかが告白すれば素直に上手くいくんだろうという感覚が皆無。
亜豆と小田、そこが違うだけで、でもそこが一番の重要な違いだったんだろうな。
恋がしたいと、意識よりも早く本能が求めたのは亜豆だった。
「あー・・・亜豆に会いてぇ」
「っ・・・」
「痛って・・・蹴るか?!」
「ふざけんなですよ。先に不意打ちで痛み与えたのはそっちでしょ」
「はい、最低です。自覚してます。もう、こうなったらそっちが好き好き挑むのに対してどこまでも最低男で挑んで吹っ切らせてやろうかと思って」
「腹立ちますね!でも、なんか変なアドレナリン分泌されてんのか余計に恋愛特急のガソリンチャージですよ!」
「ぶっは・・・お前・・本当性質悪い。めんどうくせぇぇ~」
「面倒くせぇいただきました!くっそ、もう、迷惑な程好きで居てやる!!」
覚えてろ。
そんな風に俺の胸を人差し指でトンっと突くなりクルリと向きを変え控室に歩きだした姿。
突かれた胸が地味に鈍い痛みの余韻を広げ、そこを摩りながらなんとも言えない苦笑いで小田の後ろ姿を見つめてからのそりと自分も動きだした。



