「やっぱり好きです、」
うん、そう言うと思ってた。
苦悶の表情で発せられた言葉は予測済みであった。
だからこそ焦る心はなく、それでも『難儀な奴』と眉尻を下げながら苦笑して息を吐く。
「困った・・・」
「困ってくれて万々歳です」
「フッ・・・本当困る。・・・引っこ抜こうにも根っこが太いし強いし」
「雑草並みに伊万里さんの庭荒らしますよ」
「フハッ・・・も・・笑かすな。・・・・はぁ、何で俺なんか好きになっちゃったかねぇ」
「私だって今切実にそう思ってますよ!!何でクリスマスにこんな痛い思い出作ってまで最低な伊万里さんに食いついているのかって!」
「嫌いになってくれていいんだけど?」
「むしろ、なりたいですよ!!でも意思でどうこうなる物でもないでしょ!?もう、こうなったらうんざりする程アピールしてやろうかと」
「・・・お前って、」
「はい?」
「・・・タフだなって」
本当は浮かんでいたのは違う言葉で、それでも音にはせず差し替えた。
やっぱり、似てると思ってしまったんだ。
俺なんかにひたむきに好意を寄せてくれる感じが亜豆に。
ただ、亜豆は好きだとその感情の供給ばかりで需要を必要としなかった。



