「っ・・・ビックリしたぁ」
思わずそんな驚愕の声を響かせたのは、扉をくぐって通路に抜けたすぐその場所の壁に、待ちかまえていたかのように寄りかかっている小田の姿があったから。
驚愕露わな俺にジッとわざとらしい細目を向けて、如何にも物申したい雰囲気に気圧され心が正直に一歩後退。
「えと・・・何だろうか?」
「ビックリしたのはこちらだと言いたいと言いましょうか」
「・・・・えっと・・、」
「正直・・・・伊万里さんがムードに流され大胆になるタイプだとは思わなかったです」
「っ・・・・」
「いえ、・・・別にプライベートに物申したいわけじゃなくて・・その・・・仕事の時間帯にはどうなんだろうと」
「っ・・・・ご、御尤もです」
返す言葉もありませんとも。
と、言うより・・・まさかの目撃。
しかもなんか一番見られて気まずいような相手に。
それでも、目撃してしまった小田の方がもっと複雑で気まずい心中である事は動揺しきった偽物の平静でよく分かる。
俺の目を見ようとして数秒は粘るのに耐え切れずに逃してまた戻して。
なんとか咎めるような表情や態度を見せているけれど、気を抜けば下がりそうな眉尻だと感じるのは俺の思い込みなのか。



