「すげぇ・・・良かったよ」
「はぁ?」
「お前の世界。・・・独創的な無人の世界?無茶苦茶引き込まれて・・・なんか、自分の創作意欲くすぐられた」
「っ・・・」
言葉を綴りながら指さされた自分のカメラ。
その中に収まっているのは今まで撮り溜めた無人の世界。
私の世界。
それを賞賛されているのだと理解すればさっきから内側にある熱がより一層熱くなってドロドロに内側から溶かされそうにも感じる。
そんな自分を誤魔化す意図もあったけれど、
「そ、創作意欲って?」
「ん?俺ね、クリエーター志望なの。さっきの会社も広告会社だったろ?」
「うん、さすがに大手だから私も知ってた」
と、言うか・・・菱塚と張り合うライバル社だからってのもあるけど。
「だから・・・なんつーのか・・・お前の撮った写真になんかいい意味で刺激を受けたっていうのかな」
「・・・・」
「俺がお邪魔させてもらったお前の世界はこんな味のある所だったんだぁ。って、写真見て思ったわ。どおりで・・・就職放り投げるくらいにハマったわけだって」
「っ・・・」
「・・・・・なぁ・・お前の世界にもう一人くらい住みこめる余裕あったりする?」
「っ・・!?」
「・・・・なーんてね」
冗談。と笑う姿は屈託がない。
屈託がなくて、無邪気で、もの凄く心惹かれる笑みなのに・・・少しズキリとも痛む。
『冗談』と言う響きのタイミングに傷んで自分でも驚く。



