「一人になれるけど一人じゃない世界になんか息が出来た気がした」
「っ・・・」
「サンキュ、」
ザワリと風が吹き抜ける。
体も、心の中も。
感情根こそぎ巻き上げて心中乱して静かに収まって。
そうして鎮静すれば一つだけ浮き彫りに残ったものがあって。
それが何なのか明確でないのにひたすらに・・・熱い。
何の熱なのか、どんな熱なのか。
分かっているのは消化できないもどかしい熱さだけ。
『サンキュ』って・・・何?
何でお礼?
だって、だってさ・・・、
「っ・・・馬鹿みたい」
「・・・・」
「そうやって勝手に私の世界無断使用した結果全部ダメになっちゃったじゃない」
「・・・・」
「もしかしたら内定もらえたかもしれないのに駄目にしちゃったじゃない」
「・・・・」
「せっかくのチャンスをこんな私と交換して何の得があった?!プレッシャーくらい一人で耐えろ!!損ばっかでなんの為にお兄さんここに来たのか__」
「損ばっかでもないけど?」
「はっ?」
何を言い出すの?
そんな怪訝な私の反応に答えの様にポケットから私のデジカメを取り出しポイッと投げてくる姿に心底焦った。
だって私超危険な塀の上よ?
勿論間違っても後ろには落ちないように敢えて手前に投げてきてくれたけれど。
かなり焦ってそれをキャッチすればその様が面白かったとばかりにクスクスと笑う姿に非難の目を向ける。
まぁ、見えてないだろうけど。



