さすがに自分だけでは解釈しきれない彼の言葉に『えっ?』と聞き返すように反応して。
そんな私を携帯のカメラに収めながら相変わらず緩く口元に弧を描く姿。
「・・・・情けない話・・・緊張してたのかもな。慣れない場所、試験へのプレッシャー。一人になりたいと思うのに一人でいるのがなんか心細いし不安だし」
「・・・・」
「そんな心持でどうやって時間を過ごそうかなんて思ってたらカツアゲシーンなんかに遭遇して」
「・・・・」
「・・・・・助けたのは・・善意。でも・・助けて改めてお前見た時に丁度いいって思っちまったって言うか」
「・・・丁度いい?」
「・・・一人じゃないのに・・・一人になれそうだって」
「・・・・」
「お前の世界?・・・勝手に利用した最低男なんだよ」
悪いな。と言いながら悪びれてないように笑う。
それでも笑顔が下手だ。
別に・・・謝るような事じゃないのに。
懺悔の様に口にしなくていいのに。
誰だって馴染まない場所では心細くて、そこにプレッシャーもかかれば更に。
一人になりたいのに心細い。
そんな矛盾はおかしい事じゃなくて誰にでもあって。
でも、知ってる。
その心細さを埋める対象は誰でもいいわけじゃない事。
彼の条件を満たせたのは私の世界で。



