だって・・・なんか動悸が。
なんだかさっきからずっと心がざわついて落ち着かない。
他人の目に怯えるような感覚のざわめきと違う。
しいて言うなら彼の視線に、意識の範囲に入るのがなんだか変に動揺して動悸が走ると言うのか。
こんな風に見られてちょっかい出されるだけでドクンドクンと心臓が馬鹿みたいに騒ぎ立てるのだ。
口なんかきいてみろ!絶対に自分の中の何かが根こそぎ持っていかれる気がする。
そんなバカみたいな思考で今度は意図的に貝の如く口数減った私なのだ。
それなのに私の焦りなどお構いなしに今も『なぁ、なぁ、』とクスクス笑いで人の背中に膝で突いてくる姿はどこか朝より自然体と言うのか。
なんか・・・うん、なんか・・・ドキドキする。
「・・・私死ぬのかな?」
「はっ?いや、別に屋上から突き落とそうとかは思って無いけど?」
いや、別にあなたに殺される。って意味のそれじゃなかったんだけど。
しかも独り言だったし。
ああ、でも、本当驚く。
声の出し方すら忘れていたような私なのにサラッと独り言まで音として発するようになるなんて。
そんな事を思って口を押えたタイミング。



