「・・・・・・ごめんなさい、」
「・・・・・」
「ごめんなさい、」
その感情に満ちて仕方ない。
私がもっと早く感情を口に出来ていたら。
もう平気だからと一言言って別れていればこんな事にはならなくて。
『まぁ、いいか』と受け入れて、成り行き任せにしている内に見返りを求められない行為と存在感にどこか心地いいと浸ってしまっていた。
じゃなきゃ・・・あんな風に気を抜いて眠ったりなんかしなかった筈だ。
私が眠らなかったら、
「・・・・お前のせいだ」
「っ・・・・」
「・・・・・だから、一つだけ俺の言う事きいてくれる?」
「な、何でも!!」
「じゃあ、ホテルいこ」
「・・・・・・・・・・・」
不意に声音を変えて、表情を変えて、如何にも攻めるような雰囲気を見せてきた姿にビクリとした。
それでも要求に何でも答えて返す気であると意気込んで反応を返せば真顔で切り返されたのは衝撃の一言。
えっ?
今なんて?
ホテルとか言った?言ったよね?
えっ?えっ?・・・ホテルって・・・どんな?
なんて、本気でフリーズして脳内だけ焦りで満ちていれば、今まで真顔で覗き込んでいた姿が、限界だと言いたげに噴き出しクスクスと笑いながら、
「なーんて、冗談。でも、気を付けろよ?そういう要求されてもおかしくねぇご時世よ?」
「じょ・・・冗談?ぬ、脱がなくてOKで・・すか?」
「うん、別に興味ない」
にっこりと言いきられたけどそれはそれで何か複雑な一言なんですけど?



