不安が解消されれば仕事にも身が入る物なんだな。
昨日からの不安や懸念を取っ払っての就業タイムは差支える問題もなくサクサクと進む。
請け負った仕事の広告案とか企画のプランに頭を悩ませてみたり。
充実も充実でいつもと何ら変わらぬ日常だ。
あんなに朝に亜豆の存在に浸って溺れかけていても、一度仕事スイッチが入ってしまえばそちらが頭を占領して時間も忘れる。
それでも疲労からか無意識に糖分求め、デスクに常備になったチョコレートを口に頬張ればその瞬間は嫌でも亜豆を思いだして苦笑い。
それでも恙なく、仕事に遅れを出すでもなく集中しきってどれほどか。
チラリと確認した時刻はとっくに昼を過ぎていて、もう少しすればいつもの煙草を噴かせる時間。
その時間までにとりあえずキリのいいところまで進めようと意識をPCに戻した矢先。
不意になりだした電話の音は内線のコール音。
視線はPCに向けたまま受話器を取って耳に当て、『はい、クリエイティブ・伊万里』と業務的な反応を口にすると。
『伊万里さんへ外線からお電話です』
そんなつなぎの言葉の後にプツリと切り替わった音声を感じ、直後、
『伊万里君?』
響いてきた声音に一瞬で眉根が寄りPCに向いていた意識が全て受話器の向こうに持っていかれた。



