「っ~~ダメだ。・・・お前とヤってから性欲馬鹿になってる」
「フッ・・・そうなんですか?」
「抑制まともに出来ねぇし。ヤったら理性飛んで抱きつぶすし」
「まさに猫缶にガツガツな姿ですよ」
「・・・・分かってんなら美味しそうに匂わすなチラつかせるな」
『おらっ』と柔らかい力で顔を掴んで押して、痛みのないそんな行為に亜豆がクスクスと笑ってからゆっくりと立ち上がる。
「さすがに2日連続遅刻はどうかと思うので戻りますね」
「ああ、そうだな。俺も同じくだわ。それに今日も尾ひれのついた噂の刈り取りがありそうだし」
苦笑いで昨日の苦労を滲ませて、自分も立ち上がると先に降りかけていた亜豆の隣に並ぶ。
一緒に階段を下り始めればカツンカツンと亜豆のヒールの音が耳に心地いい。
エレベーターの前に立ちボタンを押して並んで待っていた特逸しない時間。
視線の動きだって何の気なし。
それでもフッと視線の動きが止まったのは亜豆の寂し気な首元で、
「・・・今日って・・・残業とかある?」
「いえ、特には。急用が発生しなければ定時あがりかと」
「じゃあ・・・俺が予約」
「・・・デートって事ですか?」
「・・・・落ち着かねぇんだよ。お前の首元に何もねぇと」
見慣れた線の細いアクセサリー一つも亜豆の魅力。
欠けると落ち着かないとか俺も相当どうかしてる。



