場所を変えても亜豆と隣り合っているこの距離は落ち着くし居心地がいい。
今日はいつになく寒気の増した天候で、曇天の空からは時々細かい雪がチラつく程。
屋上手前のこの踊り場も他のフロアより冷気に満ちていると思う。
居れない程寒くはない。
ほんの少し肌寒いな。なんてことを感じながらも意識の集中はあくまでも隣に座っている亜豆にあって。
ようやく照れが引いたのか逸らしていた顔をまっすぐに向け直したのを捉えて小さく笑い、視線を動かしたのは何の気なし。
動かしてすぐに・・・ピタリ。
いや、何気に顔合わせて数秒で気がついていたけどもさ、突っ込むのは後回しかと見て見ぬふりしたんだが・・・今がその時だろうか?
「亜豆、」
「はい、」
「突っ込んでいいか?」
「何をでしょうか?」
「その、色々とあらぬ疑いをかけられそうな首元の絆創膏の詳細」
「・・・ああ、やっぱり気になっちゃいます?」
「なるだろ。俺の記憶としては人の目に触れる様な位置につけた覚えはねぇし」
いや、だからって他の奴がつけたとか疑ってるわけじゃねぇんだけど。
・・・あ、ヤバい。
疑ってなかったのに今この瞬間に疑いが浮上して脳裏にムカつく笑顔が浮かぶ。



