それが気のせいか、そうじゃないのか。
見定めようとするより早く、動きだした小田に引っ張られてどんどんと遠ざかっていく三ケ月の姿。
まだ三ケ月との会話のケリがついていない。
それを理由に小田の引く手を解く事も出来た。
女の力に本気で引きずられる程柔な男でもない。
それでも、いつまでも小田の勢いと力任せに身を預け、憤る背中を見つめて足を動かしたのは俺以上に痛い思いをした様な気がするから。
振り返りもせず黙々と歩く姿に従い歩いてどれ程か。
視界に映る景色はオフィス街から賑わう街並みに切り替わり、そんな街並みの景色もしばらく焼き付けた頃合い。
ようやくピタリと小田の足取りが止まった。
そうして不動になった姿を背後から見つめていれば、目に見えて分かるのは小田から吐き出されたであろう白い息。
ずっと早足で歩いていたせいか肩を上下に荒い呼吸が明確だ。
いや、理由は早足だけじゃない気もするんだけど。
さて・・・どう声をかけようか躊躇われる。
そんな迷いを抱き頬をポリポリと指先で掻きながら、
「あー・・・小田?」
「っ・・・あの人ムカつくぅぅぅ!!」
・・・だよな。



