それに、こいつが発した言葉に亜豆の姿がチラついた事実も否めない。
さらりと淡々に、自分にやましい意識がなければあっさりと何が問題かと逆に効く様な亜豆だ。
三ケ月の言う様に切り返されたら、俺は自分の事を棚置いて亜豆に制限出来るのか?
嫉妬はしても制限せず送り出してくれた今の時間だ。
しかも、小田本人と対峙して、横恋慕宣言されても堂々としていた亜豆。
状況としてはさっきの逆転。
なのに、亜豆の様に堂々とあれず、見事言葉に遊ばれる俺は亜豆を信用しきれてない事になる?
そんな葛藤に満ちて切り返す言葉も浮かばず、それでも微々たる足掻きの様に視線は外さない。
でも、何をどう切り返していいのか・・・。
三ケ月の笑みに金縛りの如く動きを封じられている様な時間。
「・・・全部、この場では確証のない遊び言葉ですね」
不意に響いた声は背後から。
その言葉には俺も驚いたけれど三ケ月の表情にも僅かな効果。
思ってもみない介入であったのか、俺と三ケ月の意識を一瞬で掻っ攫ったのこれまで沈黙していた小田だ。
「三ケ月さん?の言葉は全部狡いです。今ここに亜豆さんが不在だからこそ都合よく語れるものばかりじゃないですか」
「お、小田?」
「約束してる?そんなのはいくらでも虚言出来ますよね。亜豆さんなら言いそう?それは仮説や予想であって本人が発した物じゃない。そんなどれも曖昧な言葉に、本人不在である中でああだこうだ言い合う事に意味がありますか?」
ああ・・・確かに。



