この男の口車に乗ってしまう様な隙を作ってはいけない。
うっかりとその言葉に足元掬われ小田の心情に同情して意識を傾ければ、あっさりとこいつのペースに巻き込まれるだろう。
その危険予測でもあったけれど、勿論発した言葉もはったりじゃない。
俺に好意を示してる小田には確かに酷と言える発言をしたのだろう。
傷みを無視する気はないし、傷つけたことから逃げる気もない。
それでも、絶対に小田がその位で折れないとも分かっているから堂々と三ケ月の方に対峙して張り合って挑む。
そんな俺に『へぇ』と言いたげに目を細めた三ケ月が、何を思ってか小田に手を伸ばしたのにはすかさずその手を払いのけ、
「触んな、」
「ええ~?何も初対面で取って食おうとはしないよ俺」
「初対面で遠慮なしに触ろうとする奴の言い分なんて信じられるか」
「伊万里君は余裕がないっていうか、心が狭いっていうか」
「あっ?」
「リオに触るのもダメ、小田ちゃんに触るのもダメ」
「当たり前だろ。お前みたいに読めねぇ危ない奴、亜豆にも小田にも近づけさせねぇよ」
ふざけんな。と横に居た小田の前に腕を伸ばし、そのまま少し庇うように後退させる。



