結果、亜豆の一人勝ちの舞台であった時間の余韻に呆けるのは2人。
あの後普通に3人でエレベーターに乗り、途中の階で降りて行った亜豆を見送って、その姿のインパクトの余韻から醒めぬままにエントランスロビーに降り立った。
そのまま、冷たい空気の洗礼受ける屋外に身を晒せば、ようやく頭もクリアになり真っ当な思考も戻ると言うもの。
小田と2人、特別言い合わせた訳でないのに会社の入り口前で立ち止まり寒空を見上げて。
先に意識の回帰を示して声を発したのは小田の方。
「伊万里さん、」
「ん〜?」
「なんか、伊万里さんがどハマりした理由分かった気がして複雑です」
「ブハッ、あはは、やったぁ、同志獲得〜、亜豆ファンクラブでも作るか」
「悔しさも飛ぶほどのギャップと言うか。ああいうキャラだったんですね亜豆さんって」
「驚くだろ~?もう、俺も本当驚いたよね。驚きっぱなしのお付き合いで日々波乱万丈よ?」
「正直、亜豆さんに『可愛い』言われて、可愛いのはそっちだろ!?って思っちゃった自分がなんか悔しい」
「あ~、もうね、それ全部俺の初期症状。末期になるとアレに依存するんだわ」
隣で自分の複雑な葛藤に悶えている小田を、全て同調できると相槌打ちながら愉快な傍観。
少し前の自分を眺めているようだと、修羅場後である筈なのにどこまでも抜けた空気であるのは亜豆効果だろうか。



