アガッと食いつくような衝撃の後のチュッと甘く擽ったいような刺激。
確実に自分の首に着いたであろう痕に『明日からどうしよう?』なんて思考は後回しにしよう。
とにかく、今は思ってもみない亜豆からの嫉妬露わに感極まったと言うのか。
だって、俺にはドライな事言い切ってた亜豆だぞ!
嫉妬は全てにしてるなんて言ってドライで、それはそれで十分に愛情感じたけど、やっぱりこんな風に感情的な嫉妬もされると湧く。
そんな湧いた心情に追い打ちをかける様な、離れて捉える亜豆のなんとも言えないもどかしげで気まずそうな表情。
そんな表情を間近に、
「伊万里さんの・・・好物は?」
「亜豆印の猫缶?」
「よく出来ました。・・・じゃあ、嫉妬に存分に興奮しながら楽しんでいらっしゃいませ」
だから、Mじゃねぇってのに。
如何にも嫉妬に喜び興奮するM扱いな発言には苦笑いしか浮かばない。
そんな俺に満足した様に口の端を一瞬だけニッと上げると、いつもの無表情に姿を戻した亜豆が小田に意識を移し。
「私のですから。心狭い言われようが一口だってお裾分けする気ありませんから」
覚えておいてくださいね。
そんな感じにピシャリと言い切った亜豆に、すでに少し前から戦意喪失であった小田が何か言う筈もなく。
只々、亜豆という存在を再認識、再構築した時間になっただろう。



