それでも、そんな事を過去に思っていたなんて思わなかった。
その事実を今更知ってその当時に感じるべきだった物を時差的に今感じた様な。
うっかりその言葉に押し黙って不動でいれば、気がついていたらしいミケがマグに口をつけたままフッと笑い声を漏らしチラリと水色の視線がこちらに走る。
それにまたドキリとした自分が不覚。
「何?そんな驚く?好きな女の子が好きな相手と再会しなきゃいいと思うの当然じゃない?」
「当然だけど・・・ミケは・・・」
「俺は違うと思ってた?」
「だって・・・だって、好かれてるとは思ってたけどどこまで本気か分からなかった。今も分からない・・・分かったつもりだったのにまた分からなくなった」
「・・・リオがどう思ってたか知らないけど俺は最初からずっと本気だよ」
「・・・・」
「リオの妄想恋愛のヒーロー役に徹してあげるくらいにね」
「っ・・・」
クスリと笑った笑顔はさっきと何ら変わらないのに、嘲笑、皮肉、嫌味が垣間見えたのは私の心に後ろめたさがあるせいなのか。
その後ろめたさと同時に湧くのは羞恥心。
それすらも見事見透かす男であると知っていたのに。
いや・・・見透かすまでもなく・・・私の表情に頬に後ろめたさも羞恥も明確だった?



