今日においての勝負は諦めた。
私の完敗と言う形でホットミルクをマグに注ぎソファでチビを相手に和んでいるミケにぶっきらぼうにそれを差し出した。
「ん、」
「ありがと」
「それ飲んだらさっさと帰ってよね。いつ麗生ちゃんや海音君が来るか分からな__」
「はい、嘘つき~」
「っ・・・」
「麗生ちゃんの方は今日残業でしょ?同じ会社な俺はさりげな~くチェック済みですよ~。海音君に関しては来るのは金曜の夜でしょ?まぁ、昔と変わってなきゃね」
「・・・・ムカつく。確信犯」
「リオをストーカーする念入りな下調べだって。自分だって伊万里 和にそれしてるんじゃなくて?」
ああ、憎らしや。
勝ち誇って笑う姿が憎らしい。
言い負かされる私が憎らしい。
何が一番気にくわないって今一緒に居るのが伊万里さんでなくてミケだと言う事実。
何で就寝時間直前に伊万里さんとの逢瀬の余韻ではなくミケの存在感に振り回されなくてはいけないのか。
「ううっ・・・伊万里さんに会いたいぃぃ~~」
「あははは、その言葉、なんか懐かし~」
「・・・・」
「よく言ってたねぇ、昔も。それ聞く度に伊万里と再会なんか出来なきゃいいのにって呪ってたのにねぇ」
「っ・・・・」
恐い。
何が恐いって・・・何で恐いんだろう。
特別表情を崩したわけじゃない、今もいつもの様な笑みで口に運んでいるマグの中を見つめていただけのミケの姿。



