だから何ですか?Ⅱ【Memory】





「ストイックだねぇ・・・お嬢ちゃん」


「っ・・・」


「俺が好きになったリオのまますぎて・・・困ったのはこっち」


「ヤダ、」


「やっぱり、期待と確信は別物だよね。リオが変わってるのを期待してた。俺が好きじゃない姿になり果てて幻滅してって」


「変わったから・・・幻滅してよ」


「変わってないよ。・・・期待しつつも・・確信してたんだ。絶対にリオは変わってないって。実際・・・リオはストイックでひたむきに一途で・・・俺が好きになったリオのままだった」


「っ・・・・」


「伊万里 和だけを見て求めてるリオだった」


「っ・・・やっぱり帰れ!」



間違いだった。


開けるべきでなかった。


今更そんな事を強く思って、目の前でしゃがみ込んでいる姿を躊躇いも遠慮もなしに突き飛ばしてみたのに。



「っ・・!!」



そんな私の行動すらお見通し?


突き飛ばしに来た私の手首に絡んできたミケの指先。


当然自分の遠慮なしの力の巻き添えになって、不覚にも後ろに崩れたミケに自ら飛び込むような状態へと展開してしまった。


ぶつかった瞬間にふわりと香るのは懐かしいミケのシトラスの香り。