「何で・・・いるかなぁ、」
いないでほしかった。
サラッと諦めて帰って、扉を開いたらただの寒い空間で。
そんな展開を期待していたのに、
「愚問だと自分で思わない?」
私の嘆きに近い言葉に小さく笑った音と一緒に返された言葉の響き。
それに落としていた視線を浮上させれば相変わらず綺麗な水色とぶつかって目を細めた。
「居ると思って来たくせに。帰ってるなんて微塵も選択肢になかったでしょ?」
「居ないでほしいって期待はしてた」
「期待と確信は別物だよね」
「っ~~何でそんな変わってないかなぁ」
「リオがリオなまま変わってなかったからだよ」
「っ・・・・」
何を言っても扉を開けた時点で私の負け。
悔しいとしゃがみ込んで嘆いてみせればそれすらも楽しいとクスクス笑ってしゃがみ込み私の顔を覗き込んでくる無邪気な姿。
ミケもミケのままだよ。
良くも悪くもミケのままで・・・好きだと受け入れてしまった姿のままで。
だからこそ・・・複雑で・・・。
そんな私の葛藤を見透かしているかのよう。
クスリと笑ったミケの冷たい指先が私の顔のラインをなぞるように触れた直後。



