だから何ですか?Ⅱ【Memory】





ホットミルクにブランデーでも落として飲んで、雑誌でも眺めたら眠りにつこうか。


そんな事を思いながらキッチンに立ち、小鍋を用意すると冷蔵庫から牛乳を取り出し背後の戸棚からはブランデーを。


バニラエッセンスも一滴程入れようか。


慣れた感じに準備を進め、小鍋に牛乳を入れるとIHのスイッチを入れる。


しばらくは鍋の中の牛乳を見つめ、鍋の縁から沸々と泡立ち始めたタイミング。



「・・・・・っ・・はぁぁぁ、」



この後の自分の愚かしさに前もって溜め息をついたような瞬間だ。


せっかく沸き始めたというのにIHをOFFにして、自分に酷く葛藤し頭を掻きむしりながら玄関へ向かう。


アホ、馬鹿、何考えてるの!?


理性がそんな言葉で自分を詰るのに、どうしても自分の奇行を止める術がないらしい。


気がつけばしっかりと施錠した鍵をガチャリと響かせていて、その瞬間に伊万里さんとの約束違反だと再びの溜め息。


それでも扉を押し開けば当たり前の様に踊り場の柵に寄りかかってこちらに笑いかけてきているミケの姿。


白い肌だから赤味が目立つ。


頬も鼻も指先も赤くて、冷え切っている体は目に見えてだ。


なのに何ら変わらぬ問題もないようににっこりと笑いかけてくる事には褒めていいのか呆れていいのか・・・間違っても・・絆されちゃダメ。