そこには、不気味な笑顔でこっちをむいている・・・ 莎絵がいた。 莎絵は真面目でおとなしい人だが、今はそんなのは一切感じられない。 口調までも変わっている。 「それ、かえしてもらうよ」 莎絵がナイフを指して、こっちに歩みよってくる。 悲しみだけだった萌琉の心に殺意が生まれた。