「あー、佐藤先生は東高で講習があってもう学校出たと思うぞ。」



「そのあと、学校に戻ってきますかね?」



「戻ってくると思うけど。
ソレ、渡しておこうか?」



「お願いしてもいいですか?」



手に持っていた封筒を渡して、ペコりと頭を下げた。
担任は、封筒を受け取って「気をつけて帰れよ。」と私と森に声をかけて進路室を出ていった。



さて、私もそろそろ行くか。



重たい腰を持ち上げて、森の横を通り過ぎる。



『えっと、何?』



横を通り過ぎた時、なぜだか腕を掴まれて止められた。



今度は一体なんの用だろうか。
腕なんか掴まなくたって、視聴覚室にはこれから行くつもりだ。



『視聴覚室なら、今から行くつもりだけど。』



「お前、本当にやりたいこととかないのかよ。
本当は、作曲続けたいんじゃねぇの?」



『は?そんなわけないじゃん。
専属だって、仕方がなく引き受けたんだよ?』