優さんと手をつなぎ、一年ぶりの夏の騒ぎの中を進んでいく。



「優さんはこの辺の人なんですか?」

「うん、そうなんだ。昔からこの祭りが好きでね、よく弟と来てたんだ」

「えっ、弟さんがいるんですか!?」

「まあね。名前は蓮って言うんだ。奏絵ちゃんと同い年だよ」

「そうなんですか……」

「弟は今日、友達と遊びに行ってて。だから、俺も友達を誘ったんだけどね……」

「そうなんですか。私なんてひどいですよ、急に用事ができたとか、行けなくなったって言って。あれ、絶対に彼氏ができたんですよ。──ひどいですよね、ホントに。彼氏より友達でしょ? って、感じ」

「そうだね。俺が彼氏だったら、友達と行ってきたらって言うよ」

「さすが、優さん! 優しいんですね」

「そっかな。でも、だって彼氏だったら少しは我慢しなくちゃ」

「さすが、優さん~」