「あ。私、若狭奏絵って言います」

「俺は笹原 優。よろしくね」

「よろしくお願いします。……で、えっと……」

「優、でいいよ。今年、18になるかな」

「私も奏絵、でいいです……。やっぱり、優さんって年上だったんですね。私、まだ16で」

「そうなんだ。かなえって、どう書くの?」

「奏でるに絵本の絵、です。お父さんがゆっくりでもいいから、ちゃんと自分らしく生きて、ってことから名付けたみたいで」

「いい名前だね。じゃあ、奏絵ちゃん、でいいかな?」

「はい」

「じゃあ、行こっか」



優さんが白くて長い腕を伸ばし、きれいな手を差し伸べる。

「付き合って」と言われたんだから、きっと手をつなごうということなんだろうけれど、そんなことは今までしたことがなかったから恥ずかしい。


そのことを察してか、優さんが「大丈夫だよ」と微笑んでくれた。

そうしたら、勝手に私の手が優さんの手を握っていた。